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菅原院長の漢方コラム

うめぼしの話

うめぼしは、うめの果実をしその葉でつけ込んだものである。

どうも梅を紫蘇で浸けるというスタイルは日本独特のものであるらしい。

江戸後期の本朝醫話によれば、「佐藤成裕が語りしは、外国は皆青漬の白梅なり。且梅の性よろしからず。我邦紫蘓を交て漬たる物、香味最美にして、天下第一なり。故に遠く倭羅思等の國に到まで、これを賞す。彼國人食料にはせず。湯にひたしてのむ。頭痛等の諸病を治するとなん。」と云ている。薬用として江戸時代には外国に輸出されていたようだ。

うめぼしに使用する赤しそは、普段使用する漢方薬にも含まれているものは多く有る。香蘇散 、参蘇飲、半夏厚朴湯など気を整え風邪を散ずる功能がある。

梅干しとしても薬用に様々な功能がある。

本朝醫話にまた云、「梅干は、元来食料の物なれども、薬用種々の力あり。本朝白焼にして用ふる事あり。世間通用の梅肉丸、萬外通要の消痛丸の類これなり。兵法匹夫受用集に、梅干は、息相血止舟に不酔薬なり。湿気をも払ふものといへり。」花粉症の重症例ではしばしば鼻腔口腔消化管からの出血を伴い、吐き気などの症状もある。梅干しは其症に対して良薬となる。暑い夏にも同様の症状があり、それにも功能がある。

近所に住む老婆、歳九十以上にして毎年素晴らしい風味の梅干しを持参して来てくれる。たいへん有り難い。

その梅干しを毎年食べられるようにするのも開業医の務めの一つなのだと思う。

(2018年3月13日 火曜日)

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