院長の漢方コラム

うど

今年もウドの季節が到来した。
患者さんや地域の皆様より沢山ウドを頂ける事は大変有り難い事である。
この記事を書くために「うど」と打ち込んで変換したところ、「獨活」という文字が出て来た。

「獨活」という文字は漢方の生薬で使われる漢字であり、その場合「ドッカツ」と読む。ウドは江戸時代の本を見ると、「烏獨」という文字であるはずなのだが、薬としてのウドの文字の方が格好が良かったのでそうなったのか、考え始めると不思議である。

ウドは薬用には二種類有りそれを使い分けるのだが、一つは「獨活」でもう一つは「羗活(キョウカツ)」である。
獨活と羗活はもともと同種の別植物であったらしく、日本でも小野蘭山の本草綱目啓蒙を見ても別植物であるという書き方がされており、シシウドが獨活でウドモドキが羗活であるらしい。ところが貝原益軒の大和本草や香川太沖の一本堂薬選を見ると、世間ではウドの古根(宿根)を獨活とし、その周りの新根を羗活として使っていたという事で、どうも区別が難しいというか一定していない。

一本堂薬選によれば、獨活は風寒湿痺を治すと書いてある。風湿相打てば痛みをなすわけだが、この時期どういうわけか腰脚攣痛を患う患者が多い。ウドはそれを治す効果がある。またウドは皮膚病の排毒剤としての効能もあり、やはりこの時期に悪化するアトピー性皮膚炎にも効果がある。

香川修庵曰く、「烏獨(うど)春夏に採り嫩芽(わかめ)を煤し食う、気芳にして味微苦、清香脆軟蔬中の上品也」と。薬効も大切だが、採れたてのウドを芳醇な香りと倶に食す時旬の清涼感を味わう。やはりそれがウドの一番の醍醐味ではなかろうか。

(2022年4月20日 水曜日)

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