漢方Q&A(知識編)

漢方薬について、患者さんの疑問に院長が答えます

漢方について様々な情報がありますが、しっかり理解されていなかったり、中には誤解されている部分もあるかもしれません。

漢方薬についてもっと良く知ってもらい、理解を深めてもらうため、良くある質問に対して院長がお答えします。

漢方薬は一般的な薬(西洋薬)と何が違うのですか?本当に効くのでしょうか?

実は西洋薬も漢方薬も生薬(自然に存在する、薬の効果をもつ植物など)からできているのですが、作り方が違います。

図のように、西洋薬は生薬を分解し一部の成分だけを取り出して薬にするのですが、漢方薬はそのままの生薬をブレンドして作ります。

西洋薬は、ある症状を標的として治す(漢方の用語では「標治」と言います)傾向があるのに対し、漢方薬は体調に合わせて、体全体を調整して治す(「標治」に対して「本治」)ことを重視しています。

そのため、西洋薬は症状そのものだけに対応するものですが、漢方薬はそれぞれの方の体調に合わせたオーダーメイドの薬を作ることができるのです。
結果として、ご自身の体全体に効くと言えるでしょう。

漢方って中国からの薬だと思うのですが、品質はだいじょうぶなのでしょうか?

歴史を見てみると、西洋薬は江戸時代後期に入ってきたと言われています。

いわゆる「鎖国」の状態でしたが、長崎の出島で貿易を行っていたのは、当時のヨーロッパの大国であったオランダです。
そのオランダからの薬という意味で、蘭方(当時の西洋薬)と呼ばれていましたが、それに対してすでに存在していた薬には「漢方」という言葉が使われました。ヨーロッパでもハーブを使った治療が昔からありましたが、日本においては漢方薬の方が歴史が長いのです。

確かに10世紀頃の中国の国名である「漢」から「漢方」の名前ができていることから、由来は中国ですが、日本で独自の発達を遂げています。長い歴史の中で、培ってきた技術で品質には問題ありません。(※ちなみに中国の伝統医学は「中医学」と言います。)

現在では漢方は「Japanese Traditional Medicine」として、世界にもアピールされています。

漢方でしか治らない病気もあるのでしょうか?

例えば「むくみをとる」ということは漢方薬でしか治せないのではないでしょうか。

むくみは体内に水分がたまってしまうことで起こります。
西洋薬ではむくみをとるために利尿薬が使われます。血管内にある水分を無理やり出して利尿作用をわざと起こそうとするのですが、それでは根本的に治ったとは言えません。

漢方では「利水薬」という薬を利用して体の細胞組織の余分な水分を血管内に戻すことで、体全体を正常に保つようにします。
結果的に尿量が増えるので利尿薬と同じに考えられがちですが、違うものなのです。

インフルエンザなどのウィルス性疾患についても、漢方のほうが治りが早いかもしれません。
健友堂クリニックに通っている患者さんはなかなかインフルエンザになりませんね。漢方が目指しているのは、体全体の体調を整えることです。

漢方はどのくらい使って効果が出るのですか?

通常、一回で効果はあります。

でも、できてしまった抗体を消すことはできません。抗体とは細菌やウィルスに抵抗する物質で、例えばはしかやおたふくかぜが一度かかると二度とかからなくなるのも抗体が体にできているからです。
人間の体を守るために必要なものなので、抗体を消すという効果はありません。

漢方を使用して二週間後ぐらいに、効果を判定しています。

市販の漢方薬とはもらえる薬が違うのですか?

市販の漢方薬はあくまで薬剤師さんが処方するものです。

薬剤師さんは患者さんの体に触って診断すること(触診)ができないため、患者さんの体がどのような状態で、どの薬が適しているかを判断することは難しいのではないでしょうか?

本来漢方薬は、漢方を良く知る医師が患者さんを診断して、その患者さんに最も適した漢方薬を渡さないと、その効果を発揮できません。

クリニックでお渡しできる漢方薬は、医師の診察に基づき、それぞれの患者さんの体質や症状に合わせたものなのです。

健友堂クリニックは患者さん1人1人に最も適した漢方薬を提供するため、様々な診断技術をマスターしている漢方専門医院です。
結果的に市販の漢方薬とは違い、効き目がある漢方薬をお渡しすることができます。

漢方薬って高いイメージがあるのですが、いくらぐらいかかりますか?

当院では保険診療の範囲内で漢方薬を出すことができます。
薬によって料金が違うので一概には言えませんが、市販の薬などと比べてもお安いと思います。
西洋薬と比べても10分の1程度です。

漢方に向いている人、向いていない人はいるのですか?

漢方の考えとして、それぞれの患者さんに合わせた漢方薬をブレンドするので、どんな方にもご自身にあった漢方薬を作ることがあります。
そのため、向き・不向きなどは全くありません。

漢方は古くからの薬というイメージがありますが、新しい薬は出ているのですか?

生薬そのものについては、自然から採れるものを使用しているため昔から大きな変化はありません。
生薬には数百種類のブレンドがあるため、新しい効能を生み出すブレンドは日々研究されています。

漢方って読みにくい名前が多くて、本当に自分の体に良いのか不安です。

確かに読みにくく、覚えにくい漢方薬もあるかもしれませんね。
基本的に漢方の知識が豊富な医師によって、患者さんの体にあった漢方薬を提供しますし、薬の説明もしっかり行います。
不安を感じる点がありましたら医師またはスタッフにお尋ねください。

子供や妊娠中の女性にも効きますか?

基本的にどのような方にも効きます。むしろその方の年齢や体調に対してしっかり効くように漢方薬を作っているというのが正しいのかもしれません。

お子さんの場合、アレルギー体質の改善のためには、漢方薬が最適です。
また妊娠中や授乳中の方は、胎児へ影響を考えて西洋薬は使えないものも多いですが、漢方薬は利用できるものがほとんどですし、産婦人科でもよく使われています。

錠剤以外飲んだことがほとんどないのですが、漢方薬は飲みやすいですか?

漢方薬は煎じて飲む生薬で出すタイプと、顆粒のエキス製剤があります。

錠剤のタイプもありますが、当院ではあまり使用していません。
ご希望に合わせて飲みやすくすることもできます。また飲み方が良く分からない方には、専門の薬剤師が正しい飲み方をお教えしますのでご安心ください。

今使っている薬やサプリメントと併用できますか?

基本的には他の薬と一緒に飲んでも問題ありません。

美容・アンチエイジングなどにも効きますか?

生薬の多くはポリフェノールが入っていますし、何よりも漢方を研究し・自分自身にも多く試しているような漢方医はみなさん長生きです。

体調を全体的に整えることが漢方薬の基本ですし、長期的な美容やアンチエイジングの薬としても漢方は優れています。
様々な漢方薬を取り揃えていますので、ご興味があれば是非お問い合わせください。

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