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菅原院長の漢方コラム

発熱の大切さ

私が研修医が終わって山梨県立中央病院のスタッフになった頃、
「ポンタール」という解熱剤で「小児の髄膜炎が悪化してしまう」というニュースが流れて全国の医者は衝撃を受けた。私もかなりびっくりした。

その頃の医学では抗インフルエンザウイルス薬が無かったので、高熱を出して苦しんでいる患者に解熱剤を出すのは当然のことであり、私も学生の頃高熱を出して開業医に行き、「今日は留年がかかっているテストがあるから」といって、お尻に解熱剤を注射してもらい留年せずに済んだ覚えがある。

この事件以来、インフルエンザ等の発熱疾患には解熱剤をむやみに出すことは、全国的にしなくなる。

その替わりに、インフルエンザの場合はタミフルやリレンザのような抗ウイルス薬を処方して発熱、頭痛、関節痛のような炎症性の苦痛は放っておくのが一般的な治療法になっている。

ウイルス感染の場合は、リンパ球が武装化するまでの期間(三、四日)体温を上げること以外生体はウイルスに対する対抗手段はほとんど無い。
それを知ってか知らずか、漢方薬の解説書である傷寒論は体温を下げすぎることに関してかなりの注意を払っている。しかし、解熱するなとも言っていない。

「微汗」をとるのだ。

うっすら汗をかくぐらいがちょうどいいと言っている。それ以上の解熱はより重篤な疾患を起こしうるし、それ以下では苦痛を和らげることは出来ない。
漢方薬をうまく使えばこの「微汗」を実現することが出来るのでより苦痛や痛みを和らげることが出来る。

長くなったのでこの辺で終わりにするが、よく考えたら今使っているタミフルやリレンザも、元を正せば「八角」という漢方薬の原料だから、まだまだ漢方の奥は深いと思う今日この頃である。

(2013年2月6日 水曜日)

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