院長の漢方コラム
五味子
ついこの前文藝春秋を読んでいたら、
向田邦子の「ツルチック」の全文が掲載されていた。
内容は子供の頃に飲んだ「ツルチック」という臙脂色の飲み物がおいしくて忘れられないのに、一緒に飲んだはずの家族が全く覚えていなかったというような内容だった。
早速検索して調べてみると、ツルチックは韓国の飲み物で、どうも「五味子」と関係あるらしいということが分かった。
「五味子」といえば、漢方構成生薬の一つ。鎮咳作用があるものである。
そういえば、最近咳が主訴の患者も多いな。
などと思いつつ、早速水出し「五味子水」を作ってみました。
味はただ「酸っぱい」!!。
五味子はその名の通り、五味がそろっているはずなのに酸っぱいだけ。
これは絶対ツルチックではないぞと思った。
本当は砂糖やハチミツを入れて飲むもので、オミジャ茶という名前があり、韓国では一般的らしい。
これを飲んだときは二日酔いで、ひどい「からえずき」でしたが不思議とそれを飲んだら治ってしまいました。
からえずきや乾嘔と咳は関係があり、いずれも副交感神経反射で引き起こされる。
「五味子」は副交感神経反射を抑える働きがあるかもしれないなと思った今日この頃でした。
(2013年1月13日 日曜日)